2013年 01月 16日
中野剛志@三橋貴明の「新」日本経済新聞』、TPP推進派の頭の中身 |
FROM 東田剛
産経新聞の報道によれば、安倍首相はTPPについて2月以降に予定される日米首脳会談での 正式表明を見送る意向であり、今年夏の参院選後への
結論先送りもあり得るとのことです。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130113/plc13011301130000-n1.htm
また、NHKの報道によれば、自民党は、まずは政務調査会の各部会ごとに、議論したうえで、外交・経済連携調査会での検討に移るなど、結論を急がず、
時間をかける方針だそうです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130114/k10014780091000.html
竹中平蔵氏が登用されたので、かなり不安になりましたが、自民党が時間を かけて検討してくれるというので、ちょっと安心しました。
「竹中平蔵のことは嫌いでも、自民党のことは嫌いにならないで下さい!」
とはいえ、まだまだ油断はできません。
例えば、この報道を契機に、TPP推進派の巻き返しが激しくなるでしょう。
また、仮にTPPが進まなくても、小泉政権時のように、経済財政諮問会議・産業競争力会議・規制改革会議を通じて、
アメリカの要求する改革が実行に移され、結局、TPP参加と同じ結果になるかもしれません。
産経新聞の記事にあるように、参院選後まで交渉参加を先送りすれば、ルール作りに参加できなくなるので、TPP推進派はあきらめると期待する方も
おられるかもしれませんが、甘いですな。
TPP推進派の「ルール作りに参加するため」という理由は、はじめから、TPP参加の方便に過ぎません。なにせ、もう二年以上も前から、
「早期に交渉に参加して、ルール作りに参加すべきだ」と言い続けている連中ですから、
参院選後であっても、屁理屈をこね続けて、TPP参加の旗を降ろそうとしないと思いますよ。
そう言えば、つい先日も、ある銀行系の研究所の研究員が、酒席の場で、そんな屁理屈をこねてからんできました。
本人の名誉のために名前は伏せることとして、とりあえず「利口ぶる馬鹿」と呼んでおきましょう。
この「利口ぶる馬鹿」によれば、TPPに参加して、 日本に有利なルールを作ればよくて、ダメなら、交渉から抜ければいいのだそうです。
使い古された屁理屈ですなあ。
交渉とは、獲ったり、獲られたりの駆け引きです。しかし、TPP交渉は 、日本にとって獲れるものなどほとんどないのに、獲られちゃいけないものはたくさんあります。
そんな状態で、どうやって交渉を有利に進めようというのでしょうか。
しかも、交渉途中の脱退は、交渉参加国、特にアメリカとの関係を著しく悪化させます。アメリカを恐れて言いなりになる必要はありませんが、下手こいて、
いたずらに日米関係を悪化させるのはルーピーです。
ですから、日米関係を悪化させたくなければ途中脱退はできなくなりますが、退路が断たれた交渉を有利に進めるのはほぼ不可能です。
それで、「何でそんなに無理してまで、交渉に参加しなきゃいけないんでしたっけ?」と聞くと、この「利口ぶる馬鹿」は、「将来、TPPに参加せざるを得なくなり、不利なルールを
押しつけられてしまうからだ」と訳知り顔で言うのです。
何で日本に不利なルールのTPPに参加しなくちゃいけないのか、さっぱり分かりませんが、もし、そうだとするなら、交渉でルールが
有利にできなくて途中で抜けたところで、結局は、その不利なルールを
押しつけられてしまうんじゃないんですか?
ということは、日本に有利なルールにする余地なんか、はじめから、なかったということじゃないですか。
こんな調子の「利口ぶる馬鹿」が、TPP推進派のクオリティなのです。
それだけでも、日本が交渉に参加して有利なルールを作ることなどできないという証明には十分ですな。
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<以上、メルマガ・三橋貴明の「新」日本経済新聞』より転載>
by maruyama-amsel
| 2013-01-16 17:48
| 中野剛志