胡温習チームは江沢民の負の遺産を清算できるか? |
北京駐在の産経記者様は、天津生まれで15歳まであっちにお暮らしだったそうだ。そして最近、初めての著書を出版されたらしい。
阿比留記者がそのご本を紹介しておられる。<習近平 共産中国最弱の帝王>というらしいが、どうも手にとる気がしないタイトルである。
件の記者様は当然シナ語には堪能であろうが、どうもその「報道」が頓珍漢である。おそらくそのシナ語を駆使してご本人が重要と思われるニュース・リソースをつかんでおられるのだろうが、推測するに、産経記者と相手は知っていてDisinformationをつかまされているのではないかと思う。
それに引き換え、おそらく中共上層部に確実なリソースをもつことが想像される、シナ内外における最も強力な反中共実行部隊である法倫功の言論機関である『大紀元』の以下の記事には大きくうなずいてしまう。
【特別報道】次期最高指導者の習近平の就任をめぐる陰謀 真相いよいよ明らかに
法倫功は、江沢民に弾圧され「邪教」(セクト)と認定された気功学習者組織であるが、さてその豊潤と思われる資金はどこから生まれるのか?加盟メンバーの上納金だけで数種の新聞を発行し、独自のTV局をもち、世界各地で反中共運動を組織し、『神韻』というNYに本部を置く芸能団体を運営し世界巡業を行えるのか?
まあ想像してみてください。とうぜん思い浮かぶ筋があるというものでせう。どこの誰とはいいませんが。
まっ、それはともかく、その言論にはシナ人の見方と思考形式が色濃く見られ、15歳までシナ人だった某記者様よりは実に納得の行く説明である。
例えば、
「習は党内で政治カラーが強くないが、父親である習仲勲元副首相は改革派として知られ、党総書記だった胡耀邦、趙紫陽と思想が近く、懇意していたという。現 国家主席の胡錦濤、総理の温家宝はいずれも胡に抜擢されたため、胡と近い関係にある習仲勲とも親交が深い。のちに、胡と温は習仲勲を師として仰いでいた。」
「第17回党大会のとき、胡錦濤は次期後継者に現副総理の李克強と習近平を見込んでいた。しかし、江沢民と曾慶紅は胡を牽制するために、より胡に近い李の後 継者指名をなんとしても阻止したい。自身の陣営に適切な人選がないため、折衷案として習近平を後継者として提案した。胡と温にとって習が意中の人物でもあ るため、江一派の提案をすんなりと受け入れた。」
「江一派のメンバーではない習が次期後継者として名前を挙げられたのは江沢民と曾慶紅が折衷した結果に過ぎない。江と曾が本当に目当てとしているのは薄熙来 だった。彼らは2007年に胡錦濤が見込んだ後継者が指名されないように動き、2007~12年の間、薄の地位を築き上げ、2012年の第18回党大会で 薄を政治常務委員会入りさせ、中央政法委書記に就任させることを目標実現の第一歩として考えている。」
この一段落あたり、わたしの拙い分析とまったく一致しているので思わず何度も膝をうって歩くのに支障がでるほどであった凹
習仲勲は、胡耀邦が批判され失脚する際、党中央でただ一人立って激しく不平を鳴らした人物として、シナ国内では今も好まれている。
それが習近平の最大の政治資本であることはすでに述べた。→習近平を近距離観察
その当時はいまだ中央にはいなかったが、もう一人胡耀邦批判を不公平であると表明した人物が胡錦濤だった。
その胡錦濤を江沢民後継者に推薦した宋平の遠大な計画がまもなく実現するのだろうか?
といきなり言ってもチンプンカンプンだろう。
かっては周恩来の政治秘書を努め、70年代に甘粛省の責任者だったころ、胡耀邦が組織した若手育成プロジェクトにより、手元で胡錦濤と温家宝を育成し中央に送り出したのが宋平である。
宋平と胡錦濤
つまりこの筋から浮かび上がってくるのは周恩来や胡耀邦とその人脈である中共主流派が、毛沢東や江沢民などという異端派を排除し、再び正常な党運営を実行しようとしていることがうかがえるのである。
その大きな流れから見れば、習近平と李克强の主導権争いなど大した問題ではないことが知れる。
やれ「団派」、かたや「太子党」などという香港ジャーナリズム用語に惑わされてならないのである。
それはシナの政治を見る切り口としては有効ではあるが、それを固定した概念としてみてはならないのである。
わたしの名づけた「胡温習チーム」が、現在進捗中の江沢民派排除にさてどれほどの成果を挙げることができるかが注目される。
尖閣諸島をめぐって日米の挑発にのって軍内反中央派閥が軽挙妄動と見せて中央の足を引っ張る場合があろう。その時の胡温習チームの対応で日本の将来に重大な影響を及ぼす可能性がある現在のシナ政局の行方がより明確になるであろう。