独仏EU条約改正案とは? |
ユーロ離脱して新ドイツ・マルク導入なら新通貨が暴騰して輸出が大打撃を被る。しかも輸出入の大部分がEU域内というドイツ。
しかしユーロを堅持するなら、財政管理能力のない国々への底なし援助を続けざるを得ない。
まさに進退に窮するドイツなのである。
もしECB(欧州中央銀行)が、「最終の貸し手」として各国の国債を買い入れるという量的緩和をすれば当面の問題は解決するのだが、それではインフレを引き起こすからドイツは絶対反対なのだという。
胃の痛む毎日が続くメルケル首相である。
そこで欧州連合の中核である独仏で共同してダメ国家の規制をしよう、というのがEU条約改正案らしい。
EU条約改定、債務危機解決で非常に重要=独首相 (←クリック)
「ドイツのメルケル首相は22日、欧州の統合深化への道を開く欧州連合(EU)条約の改定は、信頼を回復し、ユーロ圏債務危機を解決するうえで非常に重要との認識を示した。」
「ユーロが破たんすれば、欧州も破たんするとし、速やかに決定することが必要との考えを示した。欧州レベルでの条約改正が難しいのであれば、ユーロ圏レベル で行われるべきと指摘。「現在、他に代替案は見当たらない。これ以上、この状態でやっていくことはできない」と話した。」
先日の英首相との会談で反対にあったEU条約改正案だが、ユーロ通貨同盟加盟国だけでもやる、という意気込みである。
その案が独仏共同で提出されようとしている。その案とは如何?
ここ数日の経緯からすると、名目はEU機関による(その実独仏による)各国の財政規律の監視強化をする事、になるのであろう。
しかし監視される方が反対することは目に見えている。とくにPIIGSの後に控えるポーランドなどが歴史的ないきさつもあいチョー大反対しそうである。
メルケル首相が提議した、主権の移譲とは、自国がどうこうということではなく、他国にそうさせる、という意味だったのである。
ではさらなる一歩はどうなるのだろうか?
ユーロ防衛のためユーロ通貨同盟も改正し、規制強化し、不適正な加盟国を除名できるようにする。
このことである。
所帯を拡げすぎたEUも縮小の方向に向かうだろう。
いつもいうことだが、欧州連合にふさわしい加盟国とは、けっきょくのところカール大帝のフランク王国の版図であろう。つまり独仏に北伊、ベネルックス三国、いわゆるロートリンゲン・バナナと俗に言ライン河流域の国々であるが、これが欧州が成立した中世以来の欧州の核心地域であるからだ。