幸福なギリシア国民 |
藤井厳喜氏のブログ記事に、欧州十三ヶ国の幸福度調査の結果が紹介されていた。
それによると、十三ヶ国トップは、デンマークで96%が幸福を感じておる。
そして二位は、なんとギリシアで80%の国民が幸福なのだそうだ。
幸福を測る公式な秤があるわけではなく、誰がナニを幸福と感じるかはそれぞれちがうであろうから、この結果に何の意味を汲み取るかは、アナタ次第、ということである。
がしかし、デンマークとギリシア二ヶ国国民がナニを幸福とするのかは明らかに異なるであろう、という予測は容易である。
高い教育水準、高所得、完璧な社会保障、自給率の高い農業生産などデンマークは先進工業国のお手本のようなもので、いわゆる最低不幸社会を実現していそうだから、これはこれで分かりやすい。またユーロ加盟国でないことも現在の世界金融の混乱からみると羨ましくもある。
その点ではギリシアはデンマークの対極か?
それでも高い幸福度はなぜか?
ここに目下の金融混乱、資本主義の終焉の向こうに見えるあたらしい世界とその価値観が髣髴としているようだ。
私見では、財政破綻しているギリシアにおける幸福の源は、
(その光と風と水の豊かさ)
このことである。
ギリシアにいったことのある方はご存知であろうが、
ギリシアは経済的に貧しい、しかし国民は溢れかえる陽光と、涼しく澄んだ地中海の水と、そしてハーヴの香りを含んだ風を身体いっぱいに感じることができる豊かな自然環境をもっている。
アルプス以北の国々の人々がギリシアへ赴く主な理由がその分け前にあずかりたい、このことである。
そしてあの光と水と風がありさえすれば、まあたしかに幸福であろう、というやっかみ、あるいは憧憬があるからこそ、ドイツ国民の幸福度は低いのである。
さらには幸福なキリギリスにせっせと貢がねばならない働きアリという自己認識を持たざるを得ぬドイツ納税者が、低い幸福度しかもたないのはまたトーゼンのことではないか~凹
夏の休暇の時にしか幸福を感じないドイツ国民はたしかに不幸な国民である。
働いて「豊かな生活」が得られるという幻想は、まもなく終焉を迎え、その幻想に浸りたい者たちさえ否が応でもあたらしき世界とその価値観をもたざるをえなくなるであろう。
その意味でも、欧州の源流の一つ古代ギリシアのあった現代ギリシアの国家破綻の意味するものは深いのである。