残心なき勝者 |
わたしは武道の経験はないが、日本武道には残心という心得があることは知っている。
これは相手を倒した後でも気を緩めない油断しない、ということが本義ではあるが、倒した敵を尊重する態度でもある。
しかし「ビンラーディン容疑者」を殺害したアメリカにはこの残心が感じられない。あまつさえホワイトハウスへ喜んだ愚民たちが勝利のデモをするなどまことに見るに耐えない光景である。
彼らに言わせれば戦争なのだから敵将の首を捕ったから悦ばしい、ということか?
それにしてもである・・・・・・。
本日、ドイツ・カソリック教会が声明を出して曰く、
「キリスト教徒なら人の死を、しかも殺人を喜ぶ理由などない」と。
またキリスト教会の支持を母体とする政府与党CDU(キリスト教民主同盟)も、「人権はすべての人に与えられるべき」と声明した。
http://www.tagesschau.de/inland/binladen188.html
この健全なキリスト教的常識はドイツ国民がここ数日来感じてきたことなのだ。
しかも「ビンラーディン容疑者」がいわゆる「911テロ」の共同正犯であると如何なる法律的根拠があるのか?しかもあれは米国による自作自演であった、という見方が今や主流ではないのか?
またあの「テロ」のあと雪崩をうつように「対テロ戦争」に打って出た米国に不信感をもつ人々が多いのも欧州なのである。
どうも変だ、と。
欧州人は米国の行動に、民主主義よりナチス的なものを感じているのだ。
今回、ドイツ・カソリック教会の声明に対してバチカンがどんな反応を示すかまだわからないが、しかしこれは同じキリスト教徒であるはずのアメリカ国民に対する欧州人の根本的な不審観の増幅を示している。
あいつらは戦争をしたくて仕方がないのではないか、という。
おそらくそうなのであろう、としか考えられないのだ。まことに遺憾で胡乱なことではあるが、われわれはああいう国の軍事力に祖国の安全保障をゆだねてしまっているのである。
日本国民はこれに対して一考を与えずしてはたしてよいのであろうか???