おいちゃんの推薦する物憂いときに聴く音楽 |
いやあ、物憂い。かなり鬱といってもいいかも知れない。元気がでない。
そんな時は、チャチャチャかルンバなんぞを聴くがよかろうとは思うが、持ち合わせの好い盤がない。
そこでこんなのはいかがであろうか?
John Coltrane Quartet,≪ BALLADS≫。
1962年の録音であるから、ステレオ黎明期、音が左右にはっきり分かれてあまり立体感がないのはご愛嬌だ。
コルトレーンのあの激しいアドリブ・ソロなどはなく、全編タイトル通りバラードのみ。肩から力が抜けたいい演奏である。
ご本人は調子が出ずにノリが悪かったと反省していたようだが、その分リラックスした、いい気分に浸れる。コルトレーンのテナー・サックスがなんてよく唄うことか。
最初の、<Say It>の出だしからして、うっ、と思わずまるまった背が伸びるというものだ。
二曲目<You Don´t Know What Love Is>, 五曲目<I Wish I Knew> ともにチェット・ベーカーのかったるい冷めた唄で有名であるが、コルトレーンのここでの演奏も疲れた神経をもみほぐしてくれる。
六曲目は<What´s New?>。これは、ヘレン・メリルのハスキーでセクシーな声を思い出させる曲だが、コルトレーンの場合はそんなにドキドキさせてくれない。あくまでゆったり、しっとりと聞かせる。
マッコィ・タイナーのピアノも一音一音押さえるようなタッチで感じがいい。
この一枚を聴いたあとは、物憂さもややすこし減ってくれる、かも知れない。